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大規模修繕工事にも3Dプリンター!

2025.02.21

大規模修繕工事において、いつも対応に苦慮している不具合の補修に、樹脂(プラスチック)部品の劣化があります。
代表的な樹脂部品は、アルミ手摺のジョイントやエンドカバーです。
業界標準のサイズと形状のものであれば、同等の既製品を代用することで対応可能な場合が多いですが、メーカー固有の樹脂部品の場合、製造メーカーとモデル(型番)を判別するという、高いハードルがあります。

そのハードルをクリアできたとしても、10~20年以上前の樹脂部品を現在において入手できる可能性は絶望的と言えます。
どうしても補修が必要な箇所については、シーリング材にて対応していましたが、補修というより、応急処置と言わざるを得ません。
そんな折に、救世主として現れたのが「3Dプリンター」です。

3Dプリンターの利点は、金型を必要とせず、ダイレクトに製品を製造できることです。
そのため、小ロットの樹脂部品を劇的に早く安価に製作可能となりました。

今回は、三郷の案件で製作したエンドキャップを例に、3Dプリンターで樹脂部品を制作する流れを簡単にご紹介します。

製作依頼の流れは以下の通りです。

① 現物の入手
② 専門業者に現物を送り、サンプルモデルの制作を依頼
③ サンプルモデルが届いたら、現場にて不都合な箇所がないか確認
④ 不都合があればサンプルモデルからの修正箇所を指示し、サンプルモデルの改良を依頼
⑤ 問題がクリアされるまで③④を繰り返し、サンプルモデルが確定したら、必要な数を発注
※③④は、2~3回程度繰り返すことが多いです。

今回のエンドキャップの場合、
1回目のサンプルは、笠部分が干渉して取り付け不可のため、笠サイズの調整を指示しました。
2回目のサンプルは、脱落対策を再検し、リブ付きの足を延長して部品の脱落対策とする改良を指示しました。
3回目のサンプルにて、適合を確認し、発注モデルの確定となりました。

3Dプリンターは、構造上の制約として、積み木のように積み上げでしか形が作れない他、制作する素材にも制約があり、現物と全く同じものが作れる訳ではありません。
なので、実際に合せて具合を確認することは必須となります。

制作のポイントとしては、形状と納まりを確定させてから、固定方法等の改良を行うことです。
今回のエンドキャップは、開閉する扉の上の部分であり、開閉の衝撃によりどうしても徐々に抜けてくることが想定されます。
当初はビスかリベットによる固定を予定していましたが、見栄えが悪いということで、写真のように、元々の形から大きく改良したものとなりました。

こんなことができてしまうのも、3Dプリンターならではといえます。
個人でも比較的利用しやすい価格帯なので、興味のある方、ぜひ活用を検討してみてください。

積算課